AIの進化により、脆弱性の発見や悪用のスピードはこれまで以上に加速しています。こうしたマシンスピードの脅威に対抗するため、セキュリティチームも新たな対応が求められています。
こうした変化を前に、日本企業におけるAI活用がどのように進み、それに伴いセキュリティの取り組みがどのように変化しているのかを理解するため、Wiz Cloud Japanは日本国内のビジネスパーソン1,600名以上を対象に、AI時代に向けた企業の取り組みについて調査を実施しました。本調査から、日本企業におけるAI導入と関連投資が、かつての「クラウド移行」を上回るスピードで進展していることが明らかになりました。
一方で、急速なAI活用に対してセキュリティ体制の構築や専門人材の確保が追いついていない現状も本調査で浮き彫りとなっています。特に、自律的にサイバー攻撃を行う「フロンティアAI」の脅威に対し、国内企業の85.7%が「対応できない可能性がある」、「対応が極めて困難である」または「未対応」と回答しており、日本企業の不安が露呈する結果となりました。
調査結果から見えた4つの実態
1. 【スピード】クラウド移行を凌駕するAI導入の拡大
本調査では、これまで企業のITインフラ変革の中心であったクラウド移行は、現在、「システム稼働率50%」と回答する企業が30.5%となっており、5年後の2031年に過半数(53.5%)を超える緩やかな成長予測となっています。対照的に、生成AIやエージェント型AIはすでに77.2%の企業(全社導入済28.4%、一部利用48.8%)で実業務に利用されており、5年後の2031年には、80%を超える企業がAIを活用予定、約6割(59.7%)が全社導入を見込んでいます。
2. 【管理】84%が「人材不足」、ガバナンス上の課題となるシャドーAIリスク
実業務でのAI利用が急増する一方で、企業のセキュリティ体制は十分に追いついていない実態も明らかになりました。
専門人材の枯渇:AIセキュリティを評価・管理できる専門人材について、84.0%の企業が「全くいない(19.4%)」または「少数いるが不足(64.6%)」と回答しており、深刻な人材不足に直面しています。
シャドーAIの蔓延:組織内で稼働するAIモデルやAIエージェントなど、すべてのAI資産を完全に把握・可視化できている企業は14.3%にとどまり、多くの企業において、組織の管理が行き届いていない「シャドーAI」が、大きなガバナンス課題となっています。事実、AI利用における最大のリスクとして、「機密情報の漏洩(67.8%)」に次いで、「会社が許可・管理していないAIの無断利用(シャドーAI)(49.9%)」を挙げています。
またグローバルの開発環境に目を向けると、Wizの「State of AI in the Cloud 2026」調査では、71%の組織でAIコーディングアシスタントが導入されています1が、AIが生成したコードの設定ミスや脆弱性がシステム全体に波及するシステミックリスクが顕在化しています。
3. 【新たな脅威】「フロンティアAI」による自律型サイバー攻撃への備えが課題に
近年、高度な推論能力を備えた最新フロンティアAIの登場により、ゼロデイ脆弱性の発見や攻撃手法の高度化・自動化が懸念されています。こうした「AI駆動型の高度なサイバー攻撃」に対し、日本企業の85.7%が防衛に不安を抱えている(または未対応である)ことが明らかになりました(内訳:一部の高度な攻撃には対応できない可能性がある:51.2%、現行の防御体制では対応が極めて困難である:20.2%、新しい脅威に対する評価や対策の検討自体が進んでいない:14.3%)
また、グローバル調査でも、AIの活用により攻撃者の実験コストを下げ、エクスプロイト(攻撃コード)開発を加速させていることが確認されており、防御側にもAIのスピードに対抗しうる自動化された防衛アプローチが急務となっています。
4. 【投資】「セキュリティ投資」を進める世界(85%が増額)から遅れる日本(増額は56%)
今後1年間で最も強化したいセキュリティ投資分野については、本調査では「AIセキュリティ(60.9%)」が最も高く、「クラウド設定管理(CSPM/CNAPP)(47.7%)」を上回る結果となりました。これらの結果から、日本企業においてAIへの投資シフトが極めて速い速度で進行していることが分かります。
しかし、Wizの「CISO Security Budget Benchmark 2026」などのグローバル調査では、85%の組織が前年比でセキュリティ予算を増額2しているのに対し、日本国内の調査では予算を増額した組織は56.4%にとどまりました。日本企業の44.3%が「クラウド環境におけるセキュリティ侵害や設定ミスによる事故」を経験しているにもかかわらず、全体的なセキュリティ基盤への投資に世界との差が見られます。
Wizからの提言:セキュリティは「イノベーションを阻害するものではなく、確実なイノベーションを加速するもの」へ
今後5年間で日本企業の6割以上がAIを全社的に採用していくというデータは、日本市場が劇的なデジタル変革とビジネスの進化(イノベーション)の真っ只中にあることを証明しています。しかし、日本企業の84%が専門人材の不足に直面し、自律型AI(エージェント)の権限管理も追いつかない中で、現場に高度なセキュリティを求めたり、利用を躊躇したりすることは、グローバルな競争におけるスピードの損失を意味します。セキュリティの本質は、“イノベーションを阻害するものではなく、確実なイノベーションを加速するもの” であるべきです。
Wizは、シャドーAIを含め、今後爆発的に増加する社内のすべてのAIモデルやエージェントを自動で可視化し、現場に高度なセキュリティスキルを要求することなく、データパイプラインや権限のリスクを自動判定します。また、AIの脅威に備えるためのフレームワーク3をご用意しており、企業がAIの脅威へのレディネスを確立するのを支援いたします。
AIの『全面採用』へ向けて舵を切る日本企業が、人材不足の壁を乗り越え、どこよりも速く、最も安全にAIという最先端の武器を使い倒せるよう、私たちは強力に伴走してまいります。
調査概要および調査方法
調査名:お仕事に関するアンケート(クラウドセキュリティに関する国内市場調査)
調査対象:マクロミルのモニタ会員のうち、国内企業に所属する経営者、CIO/CISO/CTO、事業部長、IT・開発・運用担当者など
有効回答数:1,626名
調査期間:2026年7月2日~2026年7月8日
調査方法:インターネットリサーチ(株式会社マクロミル実施)
比較対象グローバルレポート(Wiz刊・2026年発表):